"非鉄"な人のための
鉄道用語集

ここでは、鉄道にあまり詳しくない方のために、一般的な知識も含めた鉄道用語を解説します。

アプト式鉄道通常の鉄車輪と鉄レールの組み合わせでは登れないような急勾配を走行するために、通常のレールの間に設けられたギザギザのついたレール(ラック)と車両側の歯車(ピニオン)を噛み合わせることにより登る方式の鉄道を「ラック(レール)式鉄道」とよび、そのうち世界でもっとも普及している方式の一つがギザギザをずらした複数枚のラックと同数のピニオンを垂直にかみ合わせる「アプト式」であり、登山鉄道の多いヨーロッパで多く見られる。日本では現在大井川鐵道アプトいちしろ〜接阻峡温泉(静岡)に唯一採用されている。なお通常の鉄レールと車輪による運転方法を特に「粘着運転」と呼び区別することがあるが、80‰(パーミル、1000m走る間に80m登る)程度が限界であり、そのような場合ループ線スイッチバックなどの方法をとることが多い。
EB装置Emergency Break。緊急停止装置と訳される。運転士がマスコンやブレーキ、警笛などの機器を1分以上操作しないとブザーが鳴り、5秒以内にそれらの機器を扱うか、リセットボタンを押さないと非常ブレーキがかかる。最近のJR車両には標準装備されている。類似装置としてデッドマン装置がある
運転停車長距離(夜行)列車の乗務員交代、単線での上下列車行き違いなどのための、乗降客を取り扱わない停車。運転業務上必要なものだが、あまり多いと表定速度を低下させる原因となる。

ATS
ATC
ATO
それぞれAutomatic Train Stop(自動列車停止装置)、Automatic Train control(自動列車制御装置)、Automatic Train Operation(自動列車運転装置)の略。かつて信号無視による事故が多発したことから採用された保安装置がATSで、これは停止信号に近づいた場合にベルを鳴らして警告するもので、運転士が5秒以内にブレーキ操作を行い確認ボタンを押さないと列車は停止する。大部分の鉄道で採用されている。また一歩進めて列車の速度を制限以下に抑えるのがATCで、新幹線などに採用されている。さらにすすめたのがATOで、無人運転も可能(実際はほとんど有人)なシステムであり、最近建設された地下鉄にはほとんど採用されている。
LRTLight Rail Transit。乗り降りのしやすい超低床車両を用い、電車優先信号などによってスピードアップを図り、複数両連結により輸送力を高めた路面電車。なお、使用される車両は別に「LRV」(Light Rail Vehicle)と呼ばれるが、これらを混同している場合が多い。
大回り乗車東京、大阪、福岡、新潟の一定地域は、運賃計算の際に"実際に乗車した経路にかかわらず、運賃は出発地と目的地の最短の距離で計算する"という、「大都市近郊区間」という制度が設けられている。これを逆に解釈し、"最短区間の運賃を支払い、目的地に直行せずにあちこち寄り道をする"ことを言う。これにより、わずかジュース1本分(130円)で約770km(東京から西へ向かえば岡山を過ぎるくらい)も乗車することが可能となる。注意点としては同じ駅を2度通ってはいけない、改札口は出られない、新幹線(京都〜新大阪を除く?)は対象外である。また有効期限は当然1日であり、当該地域のみしか乗車できない。
大回り乗車について詳しくは→ぱーぱー氏のページをどうぞ。
回生ブレーキ電車は電動機(モーター)に電気を流し、それによって発生する動力により動いているが、逆に電気を得るためにモーターを発電機として利用し、この時に必要な発電機を回す力をブレーキとして利用する方法。現在の電車に広く用いられており、またハイブリッドカー(トヨタ・プリウスなど)にもこの技術が使われている。
架線電車を動かすための動力源である電気をパンタグラフという電車側の機器を介して供給する設備。線路の真上に張られている電線のことで、正式には「架空電車線」と呼ぶ。横から見ると電気が通るトロリ線をハンガーと呼ばれる金具を介して吊架線が吊り下げている、という構造になっている。また一部の地下鉄では頭上の高さが不足するため地面に置いた電線から電気を供給することがあり、これは第三レール式(第三軌条式)と呼ばれ、東京メトロ銀座線、丸の内線などで採用されている。
架線下DCDCとはエンジンで走るディーゼルカーのことをいう(ちなみに電車はECという)。架線が張ってある、つまり電化されている区間は一般的に電気モーターで走る電車のほうがエネルギー効率がいい。しかし例外的に、たとえば羽越本線村上〜酒田間などは途中で電化方式が直流〜交流に変わるが、高価な交流・直流両用の電車を使うのを避け、ディーゼルカーを用いている。
かぶりつき趣味用語で、列車の先頭車両の運転席後ろを陣取って前方の景色を楽しむこと。相対速度200km/hの迫力ある列車同士のすれちがいが見られるほか、信号確認、時刻確認などで指差歓呼(いわゆる指差し確認)を行う運転士のりりしい(?)姿を垣間見ることもできる。
カント曲線通過時に車両に生じる遠心力を打ち消すために設けられた曲線の内側と外側のレール高さの差。道路で言う「バンク」に相当する。カント量を多くすればするほど列車はより高速で曲線を通過できるが、あまり大きいと万が一その場所に停車した場合に車両が内側に転覆する恐れが生じる。そのため在来線ではその最大量は105mmと定められている。
緩和曲線直線と曲線を仲立ち?する線路。またカント量を徐々に増やしていく(減らしていく)ためにも重要である。
軌間2本のレールの幅のこと。具体的にはレール頭部の内側の最短距離をあらわす。一般にmmであらわし、JRはじめ日本の鉄道路線は1067mmが最も多いが、世界的には新幹線や一部の私鉄で用いられている1435mmが普通であり、これを「標準軌」と呼ぶ。これより広い軌間を「広軌」と呼び、狭い軌間(1067mmも)を「狭軌」と呼ぶ。軌間が違う路線同士では直通運転ができないが、レールを3本にして2つの軌間に対応したり(奥羽本線神宮寺〜峰吉川駅間)、幅を変更したり(「改軌」、山形、秋田新幹線など)、フリーゲージトレイン(日本では試験中)で対応している例もある。なお、数値が中途半端に見えるのはもともと鉄道発祥の地イギリスのヤード・ポンド法で軌間が決められたからである。(標準軌は4フィート8.5インチ、狭軌は3フィート6インチ)
曲線速度曲線を高速で通過すると脱線の危険があるためその半径ごとに最高速度が決められている。例えば半径400mの曲線では70km/h、同じく800mでは90km/hなどとなっており、これを「本則」と呼ぶ。ただし、これは昔の低性能車両を前提に決められており、最近の高性能車両では10km/h〜15km/hの上乗せが許されている。また振り子式車両ならばさらなる曲線通過速度の高速化が見込める。
交流・直流電車に供給する電流の種類には大きく2つに分かれる。一つは「直流」で、電池のように電気の流れる方向が変わらないもので、直流用モーターのほうが速度制御が容易なことなどから当初の鉄道にはすべてこの方式が採用され、日本では関東、東海、近畿、中国、四国地方の電化区間がこの方式である。もう一つが「交流」で、これは一般家庭に来ている電気と同じく一定間隔で電気の流れる方向が変わるもので、変電所の数が減らせる(直流より交流のほうが供給できる電圧が高い)ことなどから戦後日本でも採用された。日本では北海道、東北、北陸、九州(のJR)の電化区間がこの方式である。電化方式の違う区間同士は「死電区間」(デッドセクション)を間に挟み、列車はその区間を惰性で走行する間にスイッチ類の操作で対応電流を切り替える。この死電区間は全国に8ヶ所(2005.9現在)あり、車内灯や空調が切れる(比較的新しい車両をのぞく)のですぐわかる。
クロスシート
ロングシート
乗客が座る座席の並べ方にはいくつかの種類がある。もっとも一般的なのが、のように車体長手方向(進行方向)と直角に座るような配置で、このように並べられた座席を「クロスシート」と呼ぶ。このうち、座席を180度回転させられるものを「回転クロスシート」、背ずりを反対側に倒して向きを変えられるものを「転換クロスシート」、二人×二人が向かい合わせに座るように固定された座席を「固定クロスシート」(または「ボックスシート」)と呼ぶ。これに対し、のように座席を進行方向と平行に並べる方法を「ロングシート」と呼び、この場合立ち席も含めた収容人数が多くなり、乗り降りが容易になることから、大都市周辺だけでなく地方でも使われつつある。この2つの方式を組み合わせたもの(ドア付近のみ二人がけロング(?)シート、それ以外はクロスシート)を「セミクロスシート」と呼ぶが、最近は減ってきている。

車体傾斜システム
カーブ走行時に車体を内側に傾けることにより、カーブをより早く走れるしくみ。傾ける方法には2種類あり、一つ目が車体と台車の間にコロなどを挟んでおいてカーブ通過時の遠心力で傾ける方法で「(制御付き)自然振子式」と呼ばれ、北は北海道(283系「スーパーおおぞら」札幌−釧路)から南は九州(885系「白いかもめ」博多−長崎)まで全国各地で活躍している。2つ目が車体と台車はそのままで、空気ばねを調整することで傾ける方式で、北海道(261系「スーパー宗谷」札幌−稚内)で採用された。次世代新幹線N700系はこちらの方式である。前者は傾斜角度を最大6度と大きく取れ、より高速で曲線を通過できるが、機構が複雑になりコストがかさみ、後者は傾斜角度は最大2度だが、機構がシンプルでコストダウンが可能、と一長一短がある。
主電動機電車の動力源で、車のエンジンに該当する。いわゆる「モーター」である。速度制御が容易(電動機に流す電流だけ変えればよい)などの理由から、鉄道車両にはながらく直流電動機が用いられてきたが、手入れが大変、重いという欠点があった。その後、電圧、周波数を同時に変化できる「VVVF(Variable Voltage,Variable Frequency:可変電圧・可変周波数)インバーター制御」方式の開発により、手入れが簡単で小型軽量の交流電動機が爆発的に普及した。現在の新製電車の(ほぼ?)すべてがこの方式である。
上下分離鉄道事業は一般的に、線路や駅や電気設備(と、そこの土地)、車両を所有しており、その取得や維持管理にとてもお金がかかる。そのためそれら(主にインフラ部分:)を自治体などが保有し、別の民間会社などがそれらを借り受けて運営する()方式。これにより列車運行会社はインフラ部の税金免除や施設の維持管理から解放され、多様かつ柔軟な列車運行が期待できる。
信号機走行している列車に対して進行、停止の指示を与える。最も基本的なものは緑(「進行」)と赤(「停止」)の2灯式であり、必要に応じて黄(「注意」、通常55km/hの速度制限)、緑+黄(「減速」、通常75km/hの速度制限)、黄+黄(「警戒」、通常25km/hの速度制限)などの表示を加える。また特殊な表示として「高速進行」(緑+緑、160km/hでの走行を指示する。北越急行ほくほく線のみで使用)、「抑速」((緑+黄)の点滅、105km/hの速度制限、京浜急行電鉄のみで使用)などがある。設置場所により「出発」(駅ホーム前方)、「場内」(駅の入口)、「閉塞」(駅間)信号機と呼ばれる。なお"出発進行"という言葉はもともと「出発信号機が進行(緑、進め)を現示(表示)している」という意味の鉄道用語である。
スイッチバック1.坂道だと出発、停止が困難なことから走行用の線路とは別に平らな場所に駅を設ける方式。奥羽本線の4連続スイッチバック(福島〜米沢・赤岩、板谷、峠、大沢駅→山形新幹線開業時に通常方式に変更)が有名だったが、その後、より登坂能力に優れた電車が普及し、全国的に減りつつある。2.坂道を一気に駆け上がるのが困難な場合、ジグザグにすすむことにより高度をかせぐ方法。箱根登山鉄道塔ノ沢〜宮ノ下(神奈川)の3回、豊肥本線立野〜赤水(熊本)と木次(きすき)線出雲坂根〜三井野原の2回スイッチバックが有名。このほか急勾配を登る方法としてはループ線アプト式鉄道などがある
青春18きっぷ春・夏・冬の期間限定で発売される、JRの普通列車が乗り放題のきっぷ。「18きっぷ」と略されることもある。"18"とあるが子供から(ただし大人と同額)お年寄りまで年齢問わず誰でも利用できる。5日分で11500円と激安で、うまく使えば東京→熊本を実質3,000円ほどで行けてしまう。ただし、特急・急行・新幹線には(ごくごく一部の例外を除いて)乗車不可。
第3セクター鉄道公営(第1)でも私営(第2)でもない経営方式で、一般に自治体と民間企業の共同出資による会社が運営する鉄道を指す。「3セク」と略されることもある。旧国鉄の赤字路線を引き継いだり(福岡・甘木鉄道)、同じく建設途中の路線を引き継ぎ開業させたり(新潟・北越急行)、民間では建設困難な都市近郊での鉄道(千葉・北総開発鉄道)などがある。
ダイヤダイヤグラム(diagram)の略で、もともとは列車の運行計画を表す線図であるが、今日では運行計画そのものを指す場合が多い(ダイヤ改正…運行計画の変更)。その運行計画の線図であるが、縦軸に距離(と、その距離に対応した駅)、横軸に時間をとった折れ線グラフである。例えばの場合、A駅からC駅に向かう列車1は右肩下がり、逆方向の列車2、列車3は右肩上がりの折れ線で示される。また、この折れ線を俗に「スジ」と呼び、折れ線の傾きが大きいと速度が速い、逆にゆるやかだと速度が遅いことをあらわしている(このことを「スジが立っている」「スジが寝ている」と表現したりする)。図では速度の速い列車3が、速度の遅い列車2をB駅で追い抜いている様子がわかる。この線図を一般向けに表に直したものが時刻表である。
タブレット鉄道の安全運行の基本ともいえる「閉塞方式」において、かつて日本で広く普及した「タブレット閉塞」方式で用いる"通行手形(通票)"。タブレットは「玉」とも呼ばれ、直径約10cmの円盤状の金属の真ん中に丸、三角、四角、楕円のいずれかの穴があけられており、駅間によってどの種類のものかが決まっている。両端駅の共同作業で機械(通票閉塞機)から取り出されたタブレットは専用の入れ物(キャリアー)に収められ該当列車の乗務員に渡される。タブレット閉塞について詳しくはこちらを参照してください。→「通票よんかく」
趣味用語で、「鉄道」を指す。使用例:「鉄っちゃん」=鉄道ファン(マニア)、「鉄分の濃い面々」=鉄道好きな人たち
鉄道「2本のレールの上に電車が走っているものだろうが!」と怒られそうだが、広い意味ではモノレール、新交通システム、ケーブルカー、さらにロープウェイ、(ゴンドラ)リフト、トロリーバス、ガイドウェイバス、リニアモーターカーまで指す。ちなみに乗りつぶしを目指す人がしばしば基準にする「鉄道要覧」という本ではロープウェイ、(ゴンドラ)リフトは別扱いである。スキー場などに設置されているものも入るためだと思われる。

デッドマン装置
運転士に何らかの緊急事態が生じた場合、直ちに列車を停止させる装置。具体的にはマスコンにレバーなどがついており、運転士は常にこれを握っている必要があり、失神などで手を離すと直ちに非常ブレーキが作動する。類似装置としてEB装置がある。
電化電気を走行列車に供給する設備を新たに設けて、電車を走らせるようにすること。「電化区間」「電化開業」などのように用いられる。電車は電力供給設備がないと走れず、その整備にはお金がかかるため郊外の鉄道には今なお「非電化区間」(ディーゼルカーしか走れない)が数多く残る。一般に電化によりスピードアップや動力費削減(運転本数が少ない路線では逆効果も)、沿線のイメージアップが期待できる。大都市近郊の鉄道は最初から電化されている場合が多い。電化されているかされていないかはレールの真上に架線があるかどうか(ごく一部に例外も)で容易に区別できる。なお、電化方式には「直流・交流」の2種類がある。
電車世間一般にはレール上を走る乗り物全般をさすが、正確には「電車」とは電気で走る車両であり、走行路線が電化されていないと走れない。そのほかディーゼルエンジンで走る車両は「気動車」あるいは「ディーゼルカー」と呼ばれ、これは電化されていない路線でも(もちろん電化されている路線も)走ることができる。また、動力源を持たない車両を動力源のみの車両(つまり、乗客は乗れない)機関車で引っ張るものを「客車列車」あるいは単に「客車」といい、これらをあわせて「列車」(train)と呼ぶのが正しい。
ムーンライトながら東京ー大垣(岐阜県)間を結ぶ夜行快速列車(「ながら」は名古屋湾に注ぐ「長良川」に由来)。「ながら」と略されることもある。その昔は行き先から"大垣夜行"とも呼ばれた。青春18きっぷのシーズンにはプラチナチケットと化す。最混雑時には増発されるが焼け石に水かも。「ムーンライト〜」はほかに「えちご」(新宿ー新潟)、「高知」(京都ー高知・臨時)、「九州」(京都ー博多・臨時)などがある。
乗りつぶし趣味用語で、乗ったことのある路線を増やしていくことを指す。
パークアンドライド最寄の駅まで車で行って駐車場にとめ(park)、そこから列車に乗る(ride)しくみ。都心に流入する車の数を減らせて渋滞緩和につながる。同様なものにサイクル&バスライド(自転車+バス)などがある。
パンタグラフ電車の屋根に設置されている、架線から電気を取り入れるためのもの。横から見た形がひし形のものが今なお一般的であるが、最近は軽量化を狙ってひし形の片方しかない「シングルアームパンタグラフ」も普及しつつある。また編成中の数自体も減りつつある。
表定速度一般に知られている速度としては「最高速度」があるが、実際には曲線部での速度制限などから全線この速度で走れることはまずない。そのため走行距離を実際に走った時間で割ったものを「平均速度」と呼び、区別している。また停車駅が多ければそれだけ時間もかかることから、走行距離を停車時間を含めた時間(所要時間)で割った「表定速度」が鉄道の世界では最もよく用いられる。
振り替え輸送事故や天災、工事などによってある路線が不通となった際に、その区間の乗客を同じ会社の他路線やバス、あるいは他社線で運ぶ事。一般には事故などの突発的な事態に他社線での輸送に用いられる事が多いが、不通区間の有効な乗車券を持っていれば追加料金等はかからない。

フリーゲージトレイン
線路の幅(軌間)が違う路線を走れる列車。現在、新幹線と在来線では線路の幅が1.435m、1.067mと違っており、そのままでは両方をまたいだ列車は走れないが、線路、車両ともに特別な装置を備え付けることにより、両方走れるようになる。現在、長崎新幹線先行開業部分(武雄−新大村)の前後での適用が検討されている。
閉塞クルマと違って列車は急には止まれない。そのため、路線を一定区間に区切り、この区間には一列車しか進入できないようにして列車同士の正面衝突、追突を防いでいる。これを閉塞方式(あるいは単に閉塞)と呼び、安全を確保するもっとも基本的な方法である。具体的には、駅と駅の間を一区間とし、その両端駅が共同で"通行手形"(「タブレット」)を発行し(これは同時に2個以上発行できない仕組みとなっている)、これを持つ列車のみ運行を許可する方法で、これを「タブレット閉塞式」と呼び、日本ではかつて広く使われていた。これを"手形"を用いないで済み、かつ駅の間もいくつかの区間に分ける事で同時に多くの列車の走行を可能にしたのが「自動閉塞式」で、現在日本ではこの方式がもっとも広く使われている。また、特別な理由によりこれらの機械が使えない場合、ヒトを"通行手形"とする「指導式」という閉塞方式がある。
防護無線事故などに遭遇した列車から無線を発信することにより周辺の列車すべてを停止させる装置。
マスコンmaster controller。「主幹制御器」と訳される。車で言うアクセルペダルに相当する。その出力調整方法は車のように無段階ではなく、数段階に分かれている。この段階を「ノッチ」と呼ぶ。
ミニ新幹線
スーパー特急
1991年の全国新幹線鉄道整備法改正により登場した新幹線の一形態。これらと区別する意味で既存の東海道、山陽新幹線など在来線より広いレールの幅(1.435m)、車体の幅も一回り大きいものが用いられる路線は「フル規格新幹線」と呼ばれる。山形、秋田新幹線のように、レールの幅を在来線の1.067mから1.435mに広げ(改軌)て、在来線からそのまま新幹線に乗り入れるようにしたものを「ミニ新幹線」と呼ぶ。この場合車体は在来線規格で既存の新幹線車体よりも小さいため新幹線区間での乗り降りにはステップが必要であり、また改軌区間の最高速度は130km/h程度である。次に整備区間のうち一部分だけを建設し、当初は在来線と同じ1.067mの幅でレールを敷いて列車を走らせる方法を「スーパー特急」と呼ぶ。将来前後の区間も建設されたときに1.435mに改軌して既存の新幹線も走れるようにできるが、この工事費が馬鹿にならないことなどから、実際は計画の途中でフル規格に変更される事が多い。
盲腸線終点まで他の路線が分岐していない線路。その距離は一般に10km程度とされ、本線から分岐して1〜2駅程度で終点となる線を指すことが多い(例:「利府支線」)が、使用する人によって微妙に異なり、また明確な定義もない。また乗りつぶしの際にネックとなることが多い。
ユレダス地震の際に発生する初期微動(P波)を感知し、直ちに送電を止めてその後やってくる主振動であるS波到達前に列車を停止、あるいは減速させる仕組み。予想震源域が遠い東海道新幹線などでは十分有効だが、先の新潟中越地震などの直下型地震ではその機能を十分に発揮できない。

リニアモーターカー
車輪で走る通常の鉄道とは違い、磁石の反発力、吸引力を利用して進む列車。磁気浮上式鉄道。通常のモーターを切り開いて広げた形(linear:線形の)が語源。2005年3月開業の通称「リニモ」は、日本で初めてのリニアモーターカー営業路線となる。また、浮上はしない(車体は車輪で支持)が、推進力としてリニアモーターを利用する「リニア地下鉄」は東京(大江戸線)、大阪(長堀鶴見緑地線)、福岡(七隈線)にある。
ループ線坂道を一気に駆け上がるのが困難な場合、山を巻くようにぐるっと一周することにより高度をかせぐ方法。北陸本線新疋田〜敦賀(福井)、上越線湯檜曽〜越後中里(群馬・新潟)が有名。登坂能力の優れた電車の普及、長大トンネル掘削技術の進歩などから先の2線の複線化の際はどちらも通常の方法で敷設された。このほか急勾配を登る方法としてはスイッチバックアプト式鉄道などがある。

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